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ザックひとつで旅へでかけよう。

思い出したときに山行記録をまとめています。基本単独行が多いです。 一人のんびり山をめぐる。
ニコニコ動画などもやっています。Twitter⇒@onerun888

キナバル山04

   


(キナバル山頂)


夕食はビュッフェスタイル。なんでも好きなだけ食べられる。国立公園のカフェテリアの飯が非常に薄味だったので、あまり期待していなかったがこの小屋はとてもメシウマだった。塩加減も申し分ない。野菜はおろかスイーツまで食べられる。山にいることを忘れるくらいだ。この小屋にはシャワーまで付いているが水しか出ない。水のシャワーは昨日で懲りたので使うのはやめておく。ウイスキーの残りがまだあったので軽く晩酌をした。あとは寝るだけ。起床は午前2時。御来光を見るために暗いうちに出発する。

山小屋の前で軽く準備体操を済ませる。3000mの高所だがあまり寒さを感じない。隊を組みハイマツに似た植物の間を縫うように登って行く。展望台まで到着するとようやく森林限界点を越えた。眼下にはコタキナバルの街の明かりが熾のように揺れていた。天気を心配していたが星がよく見えている。休憩中ヘッドランプのあかりを消して星を眺めると天の川の脇を星が一筋流れていった。気がつけば富士山より高い場所にきている。岩場はグリップがよく効いて滑りにくい。鎖場の難易度も高くはなかった。高度を考えると息がもっと切れてもいいはずだがここは赤道に近い分大気の層が厚いらしい。地平と空の境界線が少しずつはっきりしてきた。夜明けがやってきている。気付けばもう頂上にいた。

山頂は狭く交代で登る。写真を撮って場所を空ける。長居はできない。残念ながら太陽は雲の中だった。テルモスのお湯で焙じ茶を淹れて休む。書くこともないくらいあっという間に登ってしまった感じだ。樹林帯の長さに比べると山頂までの道のりは私にとってはほんの一息だった。
雲が多いがボルネオ島の地形がよく見えた。はるか向こうにも山脈が見える。あの山にも登ることができるのだろうか。全員が登頂を終えたらラバンラタの山小屋まで戻らなければならない。小休止のあと岩稜帯を降りていく。眺望が素晴らしい。ローズピークという有名な岩を写真に収めた。まるで巨人が指先でヒョイとつまみ上げたかのような面白い形をしている。スラブ状の岩の上をどこまでも歩いていく。夜と朝で景色は一変していた。こんなところを登っていたのかと感慨に深ける。名残惜しいが降りなければいけない。

キナバル山04

山小屋に帰り着くとめいめい朝食を取った。暖かいサバティーとオレンジが嘘のように美味しい。隣の席は焼き立てのパンケーキを突いている。今日はハードスケジュールだ。このまま下山して街に戻り夜のフライトで日本へ戻る。あまりゆっくりもしていられない。用意が済んだらまた長い樹林帯を降る。
「ハッピーニューイヤー」とすれ違う登山客と挨拶を交わしながら降りていく。行きはまとまっていた隊も帰りは散り散りになってしまった。一本道だし昨日も歩いているので迷う心配がないといったところなのかガイドも隊がバラついても気にかけないようだ。最初は先頭付近にいたがあまりに速いので途中から外れた。もう1名のツアー客と一緒に歩く。彼女は靴が合わないようで途中、休憩のときに診てみると足首が赤くなっていた。テーピングをしようとしたがポーターにハサミを預けたままにしていてテープが切れない。仕方ないので大き目の絆創膏を貼って処置をする。
ようやく見覚えのあるゲートまできた。ティンポホンゲート。ゴールだ。先行隊は1時間前に到着していたようだ。
ゲートには売店があった。ジュースにお菓子、インスタント麺が売られている。笑い男はインスタント麺に卵をいれて調理してもらったものを食べていた。私は卵なしの素ラーメンにする。汗をかいたので塩味が嬉しい。マレーシアで食べたもので1番美味しかったものを挙げるとしたらこのラーメンと山小屋のオレンジだ。他のメンバーも順に到着する。しかし、最後の1人が現れない。ツアー登山では遅い人に合わせて歩くのだが今回は各々のペースで歩いたので待機時間が発生した。最初に到着したメンバーは結局3時間ベンチで待機することになった。シャワー施設でも利用できれば良かったのだろうがここには売店とトイレ以外何もない。そのような状況なので時間が押してランチは流れ、バスで取り急ぎ街中まで戻ることとなった。心配していた渋滞もなくホテルまで戻れたのは幸運だった。

キナバル山04

シャワーを浴び、荷物をまとめ夕食を取りにまた外に出る。非常に慌しい。夕食は海鮮料理だった。ビールで一息つき炒めた蟹を食べる。食後、少し自由時間があったのであたりを歩く。コタキナバルの街をゆっくり見る暇がなかったので良かった。少し離れた場所にイスラム教徒の屋台村があった。屋外モニターもあってサッカー中継が流れている。みんな熱心にそれを見ていた。サッカー人気なのか?

夕食が済むとホテルまで一度戻る。当初はこのまま空港に向かう予定だったが下山後体調を崩してホテルで休んでいる1名をピックアップする必要があった。
繁華街を抜けロータリーを回ると内側からセダンが寄ってきた。ボイン、と言った感じに互いの車が当たって弾かれる。事故だ。向こうの車がロータリーの外側に出ようとバスの脇腹に突っ込んできたのだ。前方不注意というやつだ。ここまできてこんなアクシデントに遭遇するとは思わなかった。事故処理をして飛行機の時間に間に合うのだろうか?それとも代車を使う?そんなことを考えていたがバスは停まらず走行している。何故だ。国が違うと事故対応も様々なのかと思った矢先、後ろから激しくクラクションを鳴らしてセダンが追ってきた。隣席の笑い男にバスを停めなくて良いのか尋ねた。「向こうが悪いからねー。」と気にした様子はない。本当にいいのかお前。バスは一度も停止せずホテルの玄関に停車した。もちろんセダンも着いてきている。バスを降りた運転手に中国人と思しき女性たちが喚き散らしてある。どうもツーリストらしい。笑い男は「うるさくなってきたよー。」と呑気なことを言っている。全然大丈夫ではない状況になってきている。運転手は中国語が分からないらしく笑い男が話を聞いたがあまり話し合いがうまく行かないうちにバスに戻ってきた。とにかく私たちを空港に届けてから戻ってくると半ば強制的に話をつけたらしい。窓の外の中国人ツーリストは不満気にバスを睨んでいる。

そして出発。日本ではまずありえない対応だがこれで飛行機には間に合いそうだ。空港に着き笑い男に見送られる。出国審査に時間がかかったのでお土産を見るのもそこそこに機内に乗り込んだ。行きはビジネスクラスだったが帰りはエコノミーだ。ものすごく狭い。硬いシートに腰を下ろすとなんだか落ち着いた。ビジネスの柔らかい座席よりも硬いエコノミーのほうが性に合っているようだ。
機内アナウンスを聞きながら次はどこへ登ろうか、もうそんなことを考えていた。


<終了。>



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